「ゆっくり休んでください」
限界を迎えたとき、必ずと言っていいほどかけられる言葉です。
そして多くの人は、休むとは「止まること」だと信じています。
横になること。何もしないこと。静かに過ごすこと。
けれど、回復期や複雑性PTSDの状態にある人の多くが、ある矛盾に直面します。
「止まっているのに、まったく休めない」
「むしろ、じっとしている方がつらい」
この記事では、その理由と回復期の脳にとっての「本当の休み方」を整理します。
なぜ「静けさ」がつらくなるのか

体を横にして、音も刺激も少ない部屋にいる。本来なら休めるはずの状況です。
しかし、回復期の神経は違う反応を示すことがあります。
- この静けさは安全なのか?
- 何か起きる前触れではないか?
- 嫌な記憶がよみがえるのではないか?
長期間ストレス環境にいた神経は、「無刺激=安全」ではなく、「無刺激=警戒すべき状態」と誤認することがあります。
その結果、外からの刺激が減るほど、脳は内側の思考や不安を増幅し始めます。
これが、「休んでいるのに疲れる」正体の一つです。
予定があるだけで消耗する理由

もう一つの特徴は、「予定」があるだけでエネルギーを使ってしまうこと。
例えば、
「来週から作業所に行ってみよう」
と決めただけで、脳は本番モードに入り、当日の動きや失敗の想像を繰り返します。
実際には家にいるのに、神経だけが本番負荷に耐えようとして電力を消費してしまうのです。
これが、「何もしていないのに疲れている」感覚を強めます。
回復期の休息は「停止」ではない

では、どうすればいいのか。
完全に止まるよりも、
- コーヒーを淹れる
- 洗い物をする
- 単純作業をする
こうした「予測可能で安全な動き」をしているときの方が、むしろ神経は落ち着くことがあります。
これは努力ではありません。
安心できるリズムの動きが、「今ここ」に神経を固定するからです。
回復期の休息とは、「停止」ではなく「安全を感じられる状態を作ること」なのです。
「休む」を再定義する

休みとは、止まることではありません。
安心して存在できること。
安心して動けること。
もし今、「何もしていないのにしんどい」「じっとしている方がつらい」と感じているなら、それは怠けではありません。
神経が過敏になっているだけです。
無理に完全停止を目指さなくて大丈夫。
あなたにとっての「安心できる小さな動き」を探すこと。それが、回復の一歩になります。
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