人と人が関わる限り、コミュニケーションは避けられません。
それは、Webライターのように「言葉で生きる」仕事でも同じです。
私たちは、日々クライアントやディレクターとメッセージを交わし、文章を通して意図を伝えています。
それなのに、仕事のやり取りで「伝えたつもりが伝わっていなかった」というすれ違いが起こることも少なくありません。
「伝えることを仕事にしている私たちだからこそ、伝え方を大切にしたい」
そんな思いから、このテーマについて考えてみます。
ライターにとって、コミュニケーションは“仕事の土台”
ライターの仕事は一見ひとりで完結しているように見えますが、実際はチームの中で成り立っています。
ディレクター、クライアント、校正者、デザイナー、──すべての人との連携の上に、1本の記事が生まれます。
その中で求められるのが、「伝える力」です。
依頼の意図を正確に理解すること、修正の背景を汲み取ること、そして自分の考えを誤解なく伝えること。
どれもが“書く力”と同じくらい重要です。
文章力が高くても、コミュニケーションが雑だと信頼は築けません。
「わかる人」よりも、「伝わる人」。
一緒に仕事をしていて安心できる人こそ、次の案件でも声がかかるのです。
すれ違いが生まれる瞬間と、その裏にある誤解
SlackやChatworkなどの短いやり取りでは、相手の温度やトーンが伝わりづらいものです。
たった一言の「修正お願いします」でも、相手によっては冷たく感じたり、急かされているように受け取ったりします。
多くの場合、意図的ではありません。
ただ「早く伝えたい」「簡潔にまとめたい」という気持ちが、無意識のうちに“ぶっきらぼう”に見えてしまうのです。
そんなときは、ほんの一言を添えるだけで印象が変わります。
「ありがとうございます」「確認しますね」「すぐ対応します」──
この数文字で、やり取りがぐっと柔らかくなり、相手に“人の温度”が伝わります。
メッセージ1行でも、心を添える。
それが、文字だけの世界で信頼を育てる第一歩です。
伝わるコミュニケーションのためにできること
文章だけのやり取りでは、「誤解されない工夫」と「伝わる工夫」の両方が必要です。
以下は、すぐに実践できる4つのポイントです。
- 背景を添える
- 感情を和らげる言葉を選ぶ
- 確認・報告をこまめにする
- 相手の立場を想像してから送る
どれもとても大切なポイントです。少し、詳しく見てみました。
背景を添える
「この意図で書きました」「この修正意図を確認したいです」など、少しだけ文脈を添えると、相手は判断しやすくなります。“何を伝えたいか”だけでなく、“なぜそう思ったのか”まで共有すると、やり取りの精度が一気に上がります。
これだけを伝えることで、人の受け取り方は違ってくるのではないでしょうか。
感情を和らげる言葉を選ぶ
短文チャットでは、相手がどう受け取るかを意識することが大切です。
絵文字を使うのも一つの方法ですが、何よりも「柔らかい言葉選び」を心がけましょう。
「お手数ですが」「もし可能でしたら」など、クッション言葉は小さな気遣いの証です。
たった一言、そこに温度を載せる。実際に感じている方も多いのではないでしょうか。
確認・報告をこまめにする
「まだ途中ですが、方向性だけ確認させてください」。
この一文があるだけで、ディレクターやクライアントは安心します。
報連相は義務ではなく、信頼を積み重ねるための“思いやり”です。
この仕事は、相手と対面でないからわからなくてもそのまま進めてしまう方もいらっしゃいます。相手によっても違いがありますが、わからないときは伝え、わかるまで話すこと。これが、記事を作る上でとても大切。
私は以前、こんな失敗をしました。
「ちょっとキーワードがおかしくないかな?」そう思ったものの、そのままで執筆してしまった。そして、出来上がった記事を入稿した後、「なぜおかしいと思った時点で連絡をしなかったのか」。そう、わからないのにそのまま進めてしまったのです。
その案件はそこで打ち切りになりました。私にとって大口のクライアント。そこで身をもって知りました。たとえばどんな小さなことでもわからなければ聞いてみる。それは、相手にとっても大事なポイントです。
相手の立場を想像してから送る
メッセージを送る前に「この文章を相手が読んだらどう感じるか」を一呼吸置いて考える。
その5秒が、トラブルを防ぎ、信頼を守ります。
見えないからこそ、注意が必要です。その一言で相手はどのように受け取るのか。わからなければ、自分に言ってみてください。この内容を自分に質問して、「どう感じたか」を考えてみるのがもっともわかりやすいでしょう。
相手の立場を想像してから送る。とても重要です。
ディレクターになって気づいた「伝え方の差」
WebライターからWebディレクターに立場が変わると、見える景色も変わります。
かつて自分が「わかりやすく伝えたつもり」だったことが、受け手にとってはわかりづらかった──そんな経験を何度もします。
指示を出す側になると、相手の反応が結果として返ってくる。
そこで初めて、「伝えること」と「伝わること」の違いを痛感します。
そして気づくのです。
“指示待ち”のライターより、“提案できるライター”の方が、ずっと頼もしいということを。
「この方向で合っていますか?」「こう直した方が読みやすくなると思います」
そう言える人は、ディレクターにとって何よりのパートナーです。
コミュニケーション力は、キャリアの成長を支える力でもあります。
中にはできるだけコミュニケーションを取りたくない方もいます。相手に合わせるのが鉄則ではありますが、それでも「伝え方」で大きく変わるのではないでしょうか。
私の体験談
先ほど、連絡を怠って案件を失ったことをお伝えしました。それだけコミュニケーションは重要です。
私はWebディテクターになり、Webライターの時とは違うかなり多くの人とやり取りをするようになりました。
そこで感じたのが「温度の差」です。
たった一言「お疲れさまです」。「おはようございます」。これだけでも、印象はガラッと変わります。そして、その人がどのような感じで取り組んでいるかも、なんとなくわかりました。これは、ライター時代まったく、気づけなかったことです。
文章のみのやり取りは、ときに「冷たさ」を与えてしまうことがあります。もし、その中で、たとえば1記事納品したあと、少しだけ言葉を付け加えます。
フィードバックではない、やりとりです。
「とても仕事がしやすかったです。今後もよろしくお願いします」。
この一言だけで、印象は変わります。何気ない、でもとても大事なコミュニケーションだと私は思っています。だから、何かを伝えます。一言で言い。たった一言で全く違った印象を受けます。
文章の奥には、必ず“人”がいる
どんなに画面越しでも、相手は「人」です。
文章には、温度があります。思いやりがあります。
Webライターとしての「文章力」とは、正確な情報を書くことだけではありません。
相手の心に届く言葉を選ぶこと。そして、相手が気持ちよく受け取れるように伝えることです。
伝える仕事をしている私たちが、「伝わる努力」を惜しまないこと。
──それが、信頼を築き、長く愛されるライターでいるための、いちばんの近道です。

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